第477回 消防法の改正

各類場所消防安全設備設置標準(台湾の各類場所消防安全設備設置基準)では、場所を甲類~戊類の5つに分類し、建物の高さや広さ等に応じて、設置すべき消防安全設備(例:消火器、消火栓、自動火災警報器等)が定められています。

また、消防法第6条第1項前段では、これらの各類の場所の管理権者は、実際に支配管理する場所に、消防安全設備を設置し、保守しなければならない旨が規定されています。

そして、消防法第6条第2項では、消防機関は、各場所に適切に消防安全設備が設置されているかを確認するため検査を実施することができる旨が定められています。

これらの規定に違反した場合の罰則は、消防法第37条に規定されていますが、2023年5月30日に立法院で消防法第37条等の改正案が最終可決されました。

従来の消防法第37条第1項では、同法第6条第1項の消防安全設備設置義務に違反したとしても直接罰則を科されることはなく、当局より期限を定めた通知を受け取ったにも関わらず、期限までに改善しなかった場合または再度の検査に合格できなかった場合に、はじめて6000台湾元(約2万8000円)以上3万元以下の過料が科されるとされていました。

しかし、消防安全設備の設置・保守規定等の違反していることで、火災事故が発生すると、人の財産や身体に重大な被害を及ぼすこと等を考慮し、今回の改正では厳罰化されました。

営業使用、改善通知なく過料

改正消防法第37条第1項では、消防安全設備設置義務に違反した場合の罰則について、営業の使用に供している場所か否かで区別し、営業の使用に供している場合には、改善の通知を経ることなく、2万元以上30万元以下の過料を科すとされました。

これに対し、営業の使用に供していない場所の場合には、期限を定めた改善通知を出し、当該期限までに改善がされなかった場合は、2万元以上30万元以下の過料を科すとされました。

上記のほか、改正消防法第37条第2項では、当局の検査を拒否や妨害した場合の過料が増額され、6000元以上10万元以下の過料とされました。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

弁護士 福田 優二

大学時代に旅行で訪れて以来、台湾に興味を持ち、台湾に関連する仕事を希望するに至る。 司法修習修了後、高雄市にて短期語学留学。2017年5月より台湾に駐在。 クライアントに最良のリーガルサービスを提供するため、台湾法および台湾ビジネスに熟練すべく日々研鑽を積んでいる。

本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。