第513回 食品広告規制違反の罰則

台湾では、食品安全衛生管理法(食安法、以下「本法」)により、食品広告が規制されています。

本法第28条第1項では、食品、食品添加物、食品用洗剤および衛生福利部(衛福部)が公告した食品器具、食品容器または包装について、その表示、宣伝または広告は、不実、誇張または誤解が生じやすい状況があってはならないとされています。

また、同条第2項では、食品については医療効能の表示、宣伝または広告をしてはならないとされています。

これらの規定に違反した場合、本法第45条第1項により、それぞれ、4万~400万台湾元(約19万~1900万円)、60万~500万元の過料が科されます。

このように過料の金額には幅がありますが、「本法第45条に規定の広告の処理原則」(中国語:食品安全衛生管理法第四十五條規定広告處理原則、以下、「処理原則」といいます。)が定められており、(A)「回数に応じて基本課金額を増額する」のほか、(B)「違反行為の故意性」、(C)「侵害の程度」、(D)「その他裁量により参考にする」という要素が加味されて過料の金額が算定されます。

テレビ放送は過料加重

2024年1月31日、衛福部食品薬物管理署(食薬署、TFDA)は、処理原則を一部改正し、(C)「侵害の程度」に関し、改正前よりも明確な内容が規定されました。

具体的には、食品広告の違反の状況は、広告時間が増加するほど増加し、イメージキャラクターによる助長は、民衆を錯誤の判断に陥れやすいため、以下の状況がある場合には、(C)「侵害の程度」の項目において加重されます。

1.全国的なテレビチャンネルまたはショッピングチャンネルで放送し、その放送の総時間が60秒以上である。

2. i 専門家(機構)または著名人に推薦または代言してもらう、

ⅱ 製品の使用前後の比較写真、人体の臓器組織の模式図、または誇張された科学データを掲載する。

食品のほか、薬品、医療機器、化粧品等についても広告規制が存在するため、これらの製品について広告を行う場合、事前に専門家に相談することをお勧めいたします。


執筆者紹介

弁護士 福田 優二

大学時代に旅行で訪れて以来、台湾に興味を持ち、台湾に関連する仕事を希望するに至る。 司法修習修了後、高雄市にて短期語学留学。2017年5月より台湾に駐在。 クライアントに最良のリーガルサービスを提供するため、台湾法および台湾ビジネスに熟練すべく日々研鑽を積んでいる。

本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。