第587回 無免許運転の罰則

台湾では無免許運転が後を絶たず、直近1年でも無免許運転により起きた事故に関するニュースがいくつかありました。例えば、昨年10月には、台北市内湖区で15歳の少年が無免許で乗用車を運転して事故を起こし、3人を死亡させる事件がありました。

日本より多い無免許運転

台湾における無免許運転の多さは数字上も明らかで、内政部警政署の統計資料によると、台湾で発生する年間の交通事故30~40万件のうち約5万件は無免許運転による事故で、平均して毎年600人以上が無免許運転による事故で亡くなっています。

また、無免許運転という項目の取締件数は毎年約30万件で、そのうち約75%が累犯(複数回違反している場合)です。

日本の場合、令和6(2024)年版交通白書によると、2023年の交通違反のうち無免許運転は1万7599件です。
台湾の人口が日本の約5分の1であることを考慮すると、台湾では無免許運転が非常に多いことが分かります。

過料引き上げへ

このように台湾で無免許運転が多いのは、無免許運転に対する罰則が軽すぎるためであると考えます。

現行の道路交通管理処罰条例第21条第1項では、無免許運転をした場合、6000台湾元(約2万9000円)以上2万4000元以下の過料に処す旨が規定されています。また、同条第2項では、5年以内に2回以上無免許運転をした場合は2万4000元の過料に処し、さらに事故で重傷を負わせまたは死亡させた場合は車両を没収できる旨が規定されています。

このような現行の罰則では無免許運転の抑止になっていないため、これを厳罰化する法案が立法院で検討されており、2025年8月20日に初審を通過しました。当該法案では、無免許運転に対する過料が1万2000元以上3万6000元以下に引き上げられます。

なお、日本では、無免許運転をすると、「三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金」(道路交通法第117条の2の2第1項)という刑事罰が科されます。

台湾と日本では文化が違うとはいえ、日本の感覚からすると、台湾の無免許運転に対する罰則はまだまだ軽すぎるように感じます。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

弁護士 福田 優二

大学時代に旅行で訪れて以来、台湾に興味を持ち、台湾に関連する仕事を希望するに至る。 司法修習修了後、高雄市にて短期語学留学。2017年5月より台湾に駐在。 クライアントに最良のリーガルサービスを提供するため、台湾法および台湾ビジネスに熟練すべく日々研鑽を積んでいる。

本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。