第615回 個人情報の収集・利用と目的

個人情報保護法(以下「本法」といいます)第19条第1項および第20条第1項によれば、非公務機関(民間企業等)による個人情報の収集、処理又は利用は、特定の目的を有していなければならず、かつ、特定の目的の範囲内で必要最小限としなければなりません。

そして、本法第5条では、「個人情報の収集、処理又は利用は、当事者の権益を尊重し、誠実かつ信用ある方法により行わなければならず、特定の目的の必要範囲を超えてはならず、かつ、収集の目的と正当かつ合理的な関連性を有するものでなければならない」旨が規定されています。

台湾の個人情報保護委員会によると、その立法趣旨は、個人情報の収集、処理又は利用の基本原則を明らかにするとともに、データ収集者が名目や理由を巧みに作り出して、恣意的に個人情報を収集、処理又は利用することを防止するためです。

名札の着用義務は違法か

2026年1月2日、個人情報保護委員会は、会社が従業員に名札を付けさせることは本法に違反するかどうかについて解釈を示しました(個資籌法字第1140002420号)。

同解釈によると、このような場合、本法第5条の比例原則の規定に従い、従業員の氏名を完全に開示することが、収集目的を達成するための唯一の方法であるか、あるいは侵害を最小限に抑える方法であるか、また、当事者に与える損害が達成しようとする目的の利益と著しく不均衡とならないか(例:実名に代えて従業員の姓や役職名等の他の代替手段を用いることで、収集目的を達成できるかどうかの評価が行われているか)に留意しなければなりません。

そして、本件については、従業員の業務内容、就業規則、個別の労働契約、および具体的な事実認定(例:セキュリティ上の入退室管理が必要かなど)を考慮する必要があり、一概には違法とはいえないと判断しました。

このように、特定の行為が本法違反となるかはケースバイケースであるため、事前に本法第5条の比例原則に合致しているかを検討する必要があります。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

弁護士 福田 優二

大学時代に旅行で訪れて以来、台湾に興味を持ち、台湾に関連する仕事を希望するに至る。 司法修習修了後、高雄市にて短期語学留学。2017年5月より台湾に駐在。 クライアントに最良のリーガルサービスを提供するため、台湾法および台湾ビジネスに熟練すべく日々研鑽を積んでいる。

本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。