第1回 外国人の運転免許の有効期間

外国人の生活環境を向上させ、優秀な海外人材を招致する施策の一環として、交通部は2011年12月13日、道路交通安全規則を一部改正し、同日より外国人が台湾で運転免許証を新規取得、または書き換える際に、台湾公民と同様、有効期間を6年とした。

年間2万人が新規取得・書き換え

台湾ではこの2年間、毎年約2万人の外国人が運転免許証を新規取得、または書き換えを行ったとされているが、道路交通安全規則の旧第52条第4項によれば、「外国人、中国大陸地域の人民、香港もしくはマカオの住民、または戸籍の無い台湾地域の公民が台湾の自動車運転免許証を新規取得・書き換えるときは、その滞在または在留の許可証明(文書)の有効期間に応じて、これを発行するものとし、申請の上、延長を許可された在留・滞在期間に基づき、期間満了前に注記方式により延長することができる」とされていた。

旧法では在留期間が基準

つまり旧法では、外国人の運転免許証の有効期間は、台湾における在留期間を基準としていた。しかし、台湾で働く外国籍の大学教授、会社顧問等の外国人が在留期間が満了し本国に帰国した後、再度台湾において働く際には、改めて運転免許証の再発行手続きを行わなければならず不便だった。そのため、米国、欧州、オーストラリア、ニュージーランドの商業会議所は交通部に対し、外国人の台湾の運転免許証の有効期間を延長するよう要請していた。

これを受け、昨年の改正では上記条項が「外国人、中国大陸地域の人民、香港もしくはマカオの住民または戸籍のない台湾地域の公民が台湾の自動車運転免許証を新規取得・書き換えるときの有効期間および再発行は、第1項の規定(即ち、台湾の公民と同様、運転免許証の発行後、有効期間は6年間)に基づき処理する」と改正され、同時に、「ただし、自動車運転免許証の有効期間満了時に、1年以上の滞在または在留に関する許可証明(文書)を取得している場合でなければ、新しい運転免許証への切り替えを申請することはできない」との条件が付け加えられた。

発行日から起算

交通部によれば、現在、台湾の運転免許証を持っている外国人は、監理機関に赴き、追加注記という方式によって、運転免許証の有効期間を発行日から起算して6年に延長することができる。法改正によって、外国人にとって運転免許証を利用する上での利便性が大きく高まったと言える。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

台湾弁護士 蘇 逸修

国立台湾大学法律学科、同大学院修士課程法律学科を卒業後、台湾法務部調査局へ入局。数年間にわたり、尾行、捜索などの危険な犯罪調査の任務を経て台湾の 板橋地方検察庁において検察官の職を務める。犯罪調査課、法廷訴訟課、刑事執行課などで検事としての業務経験を積む。専門知識の提供だけではなく、情熱や サービス精神を備え顧客の立場になって考えることのできる弁護士を目指している。

本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。