第2回 台湾から中国への輸出品に対する関税引き下げ

2012年1月1日から「海峡両岸経済協力枠組み協議(ECFA)」のアーリーハーベストリストが第2段階に入り、台湾から中国に輸出される農業、電機、計器、機械、紡織、有機化学など437項目の製品にかかる関税がこれまでの5%〜15%から0%に引き下げられた。

ECFAは台湾と中国が10年6月に締結、同年9月12日に発効した。ECFA第7条などの規定によれば、関税引き下げの対象となるアーリーハーベストリストの記載製品は、台湾から中国への輸出製品は539項目、中国から台湾への輸出製品は267項目あり、3年間で3段階に分けて関税が引き下げられる。経済部国際貿易局によれば、11年のアーリーハーベストリストにおける第1段階の関税引き下げにおいては、台湾から中国への輸出製品のうちゼロ関税が実現したのは72項目(アーリーハーベストリスト項目の13.4%)のみだった。

94%がゼロ関税に

しかも、香港税関当局への中継証明書の申請など手続きが煩雑で、また別途費用を支払う必要があるため、メーカー側に関税優遇の適用申請をしようという意欲が起きず、このため実際に減免された関税額は多くはなかった。しかし、12年に第2段階に入り、台湾から中国に輸出される農業、漁業、機械、石油化学および紡織などの計437項目の製品(アーリーハーベストリストの81.1%)でゼロ関税が実現し、11年の分と合わせると今年は計約94.5%の製品の関税が免税となったため、国際貿易局は関税の引き下げによる実際の利益は152億7,000万台湾元に達すると予測している。

また、12年には、中国からの輸入製品のうち186項目について、台湾は関税を0% とした。これは中国側のアーリーハーベストリストの69.7%を占める(これらの製品の従来の関税率は2.5%〜7.5%)。中国からの輸入製品で、関税引き下げの対象となるのは主に真空ポンプ、熱交換器、送風機などの工業製品で、農産物はない。

ECFAの適用対象は台湾企業に限らない。台湾で製造されて中国に輸出される、アーリーハーベストリスト内の製品であれば、すべてECFAの優遇措置の適用が可能であるため、台湾で操業する外国企業も関税引き下げの優遇を享受できる。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

台湾弁護士 蘇 逸修

国立台湾大学法律学科、同大学院修士課程法律学科を卒業後、台湾法務部調査局へ入局。数年間にわたり、尾行、捜索などの危険な犯罪調査の任務を経て台湾の 板橋地方検察庁において検察官の職を務める。犯罪調査課、法廷訴訟課、刑事執行課などで検事としての業務経験を積む。専門知識の提供だけではなく、情熱や サービス精神を備え顧客の立場になって考えることのできる弁護士を目指している。

本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。