第234回 化粧品衛生管理条例の改正

2018年4月10日、化粧品衛生管理条例の改正案が立法院で最終可決(三読)された。この改正により、法規の名称も「化粧品衛生安全管理法」(以下、「新法」という)へと変更される。新法の要点は次の通りである。

1.「化粧品」の定義

国際的な規範に合うよう、「化粧品」の定義が改められ、これにより、非薬用の歯磨き粉や洗口液なども化粧品管理に組み入れられた(新法第3条第1項第1号)。

2.製品登録制度と製品情報ファイルの新設

製品が市場に出回った後の流通を掌握できるよう、衛生福利部(衛福部)が公告した製品については市場に出回る前に、電子システムに登録しなければならず、また、製品情報ファイルを設けなければならないこととされた(新法第4条第1項)。

3.優良製造準則の遵守

衛福部が公告した化粧品の製造場所は、優良製造準則に符合していなければならず、衛福部は現場検査を執行できるとされた(新法第8条第2項)。

4.業者主動の通報義務

正常または合理的な化粧品の使用が人体の重大な副作用を引き起こし、または、製品に衛生安全を損ない、もしくは損なう恐れがあるとき、化粧品業者は、衛福部が定める方法に従い、通報しなければならないとされた(新法第12条第1項および第3項)。

5.広告規制違反に対する過料の大幅な増額

化粧品衛生管理条例においては、広告規制違反の場合、5万台湾元(約18万5,000円)以下の過料に処せられるとされていた。しかし、新法においては、虚偽または誇大な広告を行った場合、4万元以上20万元以下の過料に処せられる(新法第20条第1項前段)。さらに、医療効能に関する広告を行った場合には、60万元以上500万元以下の過料に処せられる(同項後段)。

6.広告の事前審査制度の廃止

化粧品衛生管理条例に規定されていた広告の事前審査に関する条文は、17年1月6日の大法官解釈(釈字第744号)により失効していたため、新法では、広告の事前審査制度は採られていない。

今回、法律が大幅に改正されることに配慮し、化粧品産業への衝撃を緩和するため、化粧品業者には合理的な準備期間が与えられるとのことで、一部の規定(安全性評価に関する規定は19年11月9日施行)を除き、新法の施行日はまだ決まっていない。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

弁護士 福田 優二

大学時代に旅行で訪れて以来、台湾に興味を持ち、台湾に関連する仕事を希望するに至る。 司法修習修了後、高雄市にて短期語学留学。2017年5月より台湾に駐在。 クライアントに最良のリーガルサービスを提供するため、台湾法および台湾ビジネスに熟練すべく日々研鑽を積んでいる。

本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。