第623回 公務員への贈答

台湾では、刑法や汚職処罰条例により、職務違背行為だけでなく、職務違背行為のない職務上の行為についても、公務員による賄賂その他の不正な利益の要求、約束、または受取りが禁止されています。また、利益供与をする側についても同様に処罰対象とされています。

これらの法規では特に例外が規定されていないため、何台湾元以下であれば罰せられないといった基準は存在しません。しかし、行政機関が、倫理規範として一定の基準を示しているため参考にすることができます。

受け取れる金額の目安

行政院が公表した公務員清廉倫理規範では、職務と利害関係のある者からの贈答品については、原則としてこれを拒否するか、または返還しなければならない旨が規定されています。ただし、以下の場合で、かつ、それが偶発的なものであり、特定の権利義務に影響を及ぼすおそれがない場合には、贈答品を受け取ってもよいとされています。

・贈与された財物の市場価格が500元以下の場合

・機関(組織)内の多数の人物に対して贈与されたもので、その市場価格の合計額が1000元以下の場合

・婚約、結婚、出産、転居、就職、昇進・異動、退職および本人、配偶者または直系親族の傷病・死亡に伴い贈与された財物で、その時価が通常の社交上の慣習の基準(3000元)を超えない場合

上記金額以内の贈答であれば必ず合法になるというわけではありませんが、上記金額以内であれば通常は贈収賄で立件されることはないと思われるため一定程度参考になります。

なお、台北市、高雄市等の地方政府も上記規範に類似した独自の規範を公表しています。基本的には行政院と同様の基準を採用していますが、例えば、台北市では、収受可能な贈答品の市場価格は「200元以下」とされる等、一部の基準が異なっているため、贈答品を渡す公務員が所属する機関が公表する規範を予め確認することをお勧めいたします。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

弁護士 福田 優二

大学時代に旅行で訪れて以来、台湾に興味を持ち、台湾に関連する仕事を希望するに至る。 司法修習修了後、高雄市にて短期語学留学。2017年5月より台湾に駐在。 クライアントに最良のリーガルサービスを提供するため、台湾法および台湾ビジネスに熟練すべく日々研鑽を積んでいる。

本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。