台湾法上の離婚

台湾の著名なモデルで女優の林志玲と日本のEXILEのメンバーであるAKIRAの2019年6月結婚の報道に日台両国が沸き返った。日台関係が親密なことから、林志玲とAKIRAの他にも、日本と台湾の国民が結婚する例は、実務においても数多く存在する。

もちろん、日本と台湾の国民が結婚後、末永く結婚が継続する例も多々あるが、残念ながら価値観、家庭観、文化、言語などの違いから、最終的に離婚する例も少なくない。

台湾で結婚した夫婦は、台湾法の規定によらなければ婚姻関係を解消することができない。

以下が台湾法上の離婚に関する規定である。

一、協議離婚

民法第1050条は「協議離婚は、書面をもって行い、これには、少なくとも二人の証人が署名し、かつ戸政機関に離婚の登記をしなければならない。」と規定している。

二、裁判離婚

民法第1052条は「(第1項)夫または妻が下記の事由のいずれかに該当する場合、他方は、裁判所に対して離婚を請求することができる。一、重婚したとき。二、配偶者以外の者と和姦したとき。三、夫または妻が同居に堪えないほどの虐待を他方に与えたとき。四、夫もしくは妻が他方の直系親族を虐待した、または、夫もしくは妻の直系親族が他方を虐待し、共同生活をするに堪えなくなったとき。五、夫または妻が悪意をもって他方を見捨て、かかる状態が継続しているとき。六、夫または妻が他方の殺害を意図したとき。七、治療不可能な悪疾があるとき。八、治療不可能な重大な精神病があるとき。九、3年以上にわたり生死が不明なとき。十、故意による犯罪により6か月を超える懲役に処せられることが確定したとき。(第2項)前項以外の重大な事由があり、婚姻を維持し難い場合、夫または妻は離婚を請求することができる。但し、夫または妻が当該事由について責任を負うべき場合、他方のみが離婚を請求することができる。」と規定している。

また、夫婦が離婚した後の子の親権については、民法第1055条の規定により、離婚後の一方が親権者となることも、双方が共同で親権者となることもできるとされており、実務上は後者のほうが多い。この点は日本の状況とかなり異なると考える。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談ください。

【執筆担当弁護士】

弁護士 黒田健二 弁護士 尾上由紀 台湾弁護士 蘇逸修