台湾の株式公開発行と「公開情報観測システム」について

台湾の株式会社が、株式を発行し資本を調達する場合、公開発行か非公開発行かを選択することができる。公開発行の場合には、証券交易法に基づき行う必要がある。一方、非公開発行の場合は、原則として会社法に基づき行うことになっている。

公開発行された株式はその取引方法によって、主に三種類に分類される。第一は、「台湾証券取引所」(http://www.twse.com.tw/ch/index.php)で登録・取引されるもので、通称「上場株式」といわれる。第二は、「証券店頭売買センター」(http://www.otc.org.tw/ch/index.php)で登録・取引されるもので、その取引の成熟度及びコントロール規範の別により、更に「店頭公開株式」及び「新興株式」の2つに分類される。通常、多くの株式発行・取引は、新興市場(注1参照)から開始される。これを新興株式という。この新興株式の取引が比較的成熟すると、店頭公開される。これを店頭公開株式という。第三は、公開取引されないものである。台湾では、たとえ公開発行された株式であっても、取引所において登録・取引されることを強制されない。しかし、取引所において登録されなかった株式を、公開取引すれば、証券交易法違反となる。

非公開発行の株式も、当然公開して取引することはできない。
公開発行の株式に関しては、投資家が迅速に会社情報を取得できるようにするため、証券交易法第36条に基づき、発行者には定期的に財務諸表を開示する義務があるほか、「株主の権利・利益、又は証券の価格に重大な影響を及ぼす」事項が発生した場合は、当該事項発生後、自らそれらを開示し、且つ別途台湾の証券所管官庁にも報告しなければならない。現在、台湾の証券所管官庁は、金融監督管理委員会の下にある証券先物局である。

現在、公開株式発行会社の重大事項の開示は、台湾証券取引所の準オフィシャル・サイトである「公開情報観測システム」(http://newmops.tse.com.tw)を通じて行われている。公開株式発行会社はそれぞれ、該当事項発生後、自ら「公開情報観測システム」のウェブサイト上に該当事項を入力して情報を開示しなければならず、また錯誤、遺漏及び不実についての責任は自ら負わなければならない。

開示すべきものを開示しないなど、開示義務に違反した場合は、証券交易法に基づき、行政上の処罰が科される。また、取引所内で取引が行われている株式について、前述の開示義務違反があった場合には、同時に取引所に対しても義務違反となる。このため、取引所はこうした違反行為に対し、違約金の支払を要求することができ、場合によっては当該株式の売買を停止することもできる。

このほか、証券交易法施行細則第7条では、いわゆる「株主の権利・利益、又は証券の価格に重大な影響を及ぼす」事項について、8つの規定が列挙されている。たとえば、第1号では、会社に手形の支払拒絶、信用喪失が発生した場合、第2号では、第三者との間で訴訟が生じ、会社の財務又は営業に重大な影響が生じた場合、第8号では、戦略的提携、業務提携計画、新製品の開発試験、他企業の買収、知的財産権の取得又は販売等により、会社の財務又は業務に重大な影響がある場合が規定されており、いずれの場合も開示しなければならないとされている。

(注1)新興企業が多く上場している市場を指す。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は、当事務所にご相談ください。

【執筆担当弁護士】

弁護士 黒田健二 弁護士 尾上由紀 台湾弁護士 蘇逸修