第352回 外国専門人才の招聘および雇用法の改正草案

 国家発展委員会(国発会)は9月17日、「外国専門人才の招聘および雇用法」の改正草案(以下「新法」という)を公布しました。新法では、外国籍の専門家が来台して仕事をする条件および永住権を取得する資格などを大幅に緩和しています。新法の改正ポイントは以下の通りです。

1.現行法では、外国籍の人が来台して仕事をする場合、「就業サービス法」の各種条件に適合しなければならず、この各種条件には、台湾の使用者が提供する月額賃金が4万7,971台湾元(約17万3,000円)以上に達していなければならないこと、その外国籍の者が修士の学位を持たないときは、2年の職務経験がなければ来台して仕事をすることができないなどが含まれます。

 新法では、世界大学ランキングのトップ500に入る大学の卒業生であり、かつ台湾での就業賃金が4万7,971元以上でありさえすれば、来台して仕事をすることができ、職務経験は必要ないと緩和されました。

2.現行法では、特定の専門人才が台湾の永住権を取得しようとする場合、台湾において満5年連続して居留し、かつ毎年の居留期間が183日超えていなければなりません。

 新法では、連続居留期間が満3年に短縮され、また毎年の居留期間についても、3年を平均して満183日を超えさえすれば、永住権を獲得することができると緩和されました。

3.現行法では、外国籍の者の台湾での仕事の年間賃金が300万元を超える場合、その超過した部分について3年の減税優待(超過した部分の金額の半分を免税)を受けますが、新法においてはこの減税期間が5年に延長されました。

4.現在法では、後期中等教育機関以下の学校では外国人に英語しか教えてもらうことができませんでしたが、新法においては、将来的に推し進められるバイリンガル政策に対応するため、外国人が英語以外の科目も教えることができると緩和されました。

 新法は既に優先法案に入っており、11月に行政院で審議される予定であり、来年には実施される可能性が非常に高いです。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

台湾弁護士 蘇 逸修

国立台湾大学法律学科、同大学院修士課程法律学科を卒業後、台湾法務部調査局へ入局。数年間にわたり、尾行、捜索などの危険な犯罪調査の任務を経て台湾の 板橋地方検察庁において検察官の職を務める。犯罪調査課、法廷訴訟課、刑事執行課などで検事としての業務経験を積む。専門知識の提供だけではなく、情熱や サービス精神を備え顧客の立場になって考えることのできる弁護士を目指している。

本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。