第395回 会社の減資で現金以外を返還できるか

 会社の資本が高すぎ、1株当たりの利益が低すぎる、または株主が一部の投資を回収したい場合、減資を行うことが考えられます。減資は原則として、株主総会の同意を得た後、出資比率に応じて一定の金額の現金を株主に返還しますが、特別な需要がある場合、現金以外の財産を返還することは可能でしょうか?

株主総会で決議
 会社法第168条第2、3項には「会社が資本を減少させる場合、現金以外の財産により出資金を返還することができ、その返還する財産および充当する金額については、株主総会が決議し、またその財産を受け取る株主の同意を得なければならない」、「前項の財産の価値および充当する金額について、取締役会が株主総会の前に、会計士の監査・承認を受けなければならない」と明文で規定されています。
 経済部は2009年2月26日経商字第09802017930号書簡においても「会社が減資を行い、出資金を返還する場合において、現金以外の財産によってこれを行うときは、作業上、まず株主の意見を求め、返還する財産の金額について知らせるものとし、株主が同意しない場合、現金で株主に返還し、かつ株主総会の決議に付さなければならない」とさらに説明しています。

文書を添付
 また減資の際に現金以外の財産を返還することは比較的特殊であるため、株主を保護する観点から、経済部は、減資登記の手続きを行う際は少なくとも次の文書を添付しなければならないと規定しています。

①減資案についての討論を必ず記載し、返還する財産および充当する金額について先に明確に述べ、
 かつ取締役会が株主総会の前に、会計士の監査・承認を受け、また減資により返還される財産および
 充当される金額の決議を行った株主総会の議事録
②財産を受け取る株主の同意書
③会計士の資本監査報告書
④会計士の委任状

 減資にあたってはその他の株主の同意を得ることが必須のため、一部の株式を売却して投資を回収することを選択する投資者もいますが、株式を売却する際に新たな投資者を引き入れることとなり、会社の経営にとって有利になるとは限りません。従って、撤退または投資を回収する必要がある場合、最適な回収方式について現地の法律の専門家と共に検討することをお勧めします。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

台湾弁護士 鄭惟駿

陽明大学生命科学学部卒業後、台湾企業で特許技術者として特許出願業務に従事した後、行政院原子能委員会核能研究所での勤務を経験。弁護士資格取得後、台湾の法律事務所で研修弁護士として知的財産訴訟業務に携わる。一橋大学国際企業戦略研究科を修了後、2017年より黒田法律事務所にて弁護士として活躍中。

本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。