第398回 株式譲渡の効力

台湾の会社法上、株券はもともと無記名式株券と記名式株券の2種類に分けられていましたが、2018年の会社法改正において無記名式株券制度が廃止されたので、現在、株券は記名式のみとなります。

 なお、有価証券のペーパーレス化の推進に伴い、台湾において、株券は現在、紙の実態のある株券、および電子化された株券2種類に分けられています。電子化された株券は台湾集中保管結算所(台湾デボジトリー&クリーニング、TDCC、証券保管振替機構に相当する組織)に保管されます。

名義書き換えが効力発生要件
 記名式株券の譲渡について、電子化された株券であるか否かに関わらず、名義書き換えは譲渡の効力発生要件とされており、その根拠は下記のとおりです。

1.会社法第164条には「記名式株券の譲渡は、株券所有者が名義書き換えをもって行うものとし、かつ譲受人の氏名または名称を株券に記載しなければならない。」と規定されています。

2.経済部11年4月7日経商字第10002407170号解釈によりますと、「記名式株券は、その所有者が名義書き換えにより譲渡するものとされ、譲受人の姓名や名称を株券に記載しなければならないことは、会社法の強制規定である。記名式株券の所有者が譲渡する株券について名義書き換えを行っていない場合、譲渡の効力は発生しない。」とのことです。

3.最高法院(最高裁判所)の17年度台上字第1158号判決によりますと、「記名式株券の譲受人は、記名式株券の譲渡に関する効力発生要件を完了するよう、自分の名前を株券に記載する権限が与えられているが、譲受人がこの与えられている権限に従って記載を完了するまで、譲渡の効力は生じないものとする。」、「会社法では電子化された株券の譲渡方法について定められていないため、不動産譲渡の登録方法に類推して適用すべきであり、一定の意思表示で譲渡をするものとする」との見解がありますので、最高裁は「名義書き換えは記名式株券の譲渡の効力発生要件であり、電子化された株券についても同様である」と判断していると考えられます。

 上記によりますと、株券が発行されている場合、電子化された株券であるか否かに関わらず、株式譲渡契約が締結されても、名義書き換えが行われていない限り、譲渡の効力が発生しないと解されます。

株券未発行の場合は効力発生
 なお、株券が発行されていない場合、最高裁の17年度台上字第1625号判決によりますと、当事者間において、申し込みと承諾が合致すれば、譲渡の効力が発生すると判断されており、つまり、株式譲渡契約が締結された時点で譲渡の効力が生じることとなります。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。
執筆者紹介

台湾弁護士 鄭惟駿

陽明大学生命科学学部卒業後、台湾企業で特許技術者として特許出願業務に従事した後、行政院原子能委員会核能研究所での勤務を経験。弁護士資格取得後、台湾の法律事務所で研修弁護士として知的財産訴訟業務に携わる。一橋大学国際企業戦略研究科を修了後、2017年より黒田法律事務所にて弁護士として活躍中。

本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。