第407回 支店の子会社化と子会社の支店化

 外国人投資家が台湾において投資する場合、支店または子会社の方式を採用しますが、法律効果が異なるほか、税負担にも違いがあります。

 評価の結果、支店の子会社化または子会社の支店化を行おうとする場合、企業合併買収法の施行前においては、まず子会社または支店を設立してから、売買の方式により、元の組織の資産、負債を新設した子会社または支店に移転するしかありませんでした。
 しかしながら、企業合併買収法の施行後においては、合併・分割の方式も選択可能となりました。

 外国会社がその台湾支店の資産を分割し、100%の株式を保有する台湾子会社を新設するか、または台湾子会社を外国親会社と合併させることにより、子会社を支店化することができるようになりました。

合併・分割の方式

 経済部の2002年5月2日経商字第09102085661号および同年8月16日経商字第09102152370号書簡の解釈によりますと、外国会社は企業合併買収法第38条において準用する第35条に従い、その台湾支店の資産と事業の全部をもって、当該外国会社の台湾子会社を、分割により設立することができます。
 この場合、台湾子会社から外国会社またはその株主への株式の発行に際して、外国会社の台湾子会社は新設分割または吸収分割(既存の会社である場合)登記を行う必要があります。また、元の外国会社の台湾支店の運営資金も、直接、外国会社の台湾子会社の資本金にすることができます。
 子会社を支店化したい場合には、企業合併買収法第18条ないし26条の合併に関する規定に従い、外国親会社を存続会社、台湾子会社を消滅会社とし、外国親会社から台湾子会社の株主に株式を発行し、台湾子会社が外国会社の台湾支店となる場合、当該台湾子会社は直接外国会社の台湾支店に名称変更するのではなく、合併による解散登記を行わなければなりません。また、外国親会社は台湾支店の設立登記手続きを別途行わなければなりません。当該台湾子会社の帳簿上の未処分利益、資本準備金、払込資本などを存続会社(すなわち外国親会社)にどのように移転するかは、会社の内部自治事項になります。

 以上より、支店の子会社化、または子会社の支店化は、法律面と会計面の両方に関係するため、決定する前に、現地の法律と会計の専門家に相談されることをお勧めします。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

台湾弁護士 鄭惟駿

陽明大学生命科学学部卒業後、台湾企業で特許技術者として特許出願業務に従事した後、行政院原子能委員会核能研究所での勤務を経験。弁護士資格取得後、台湾の法律事務所で研修弁護士として知的財産訴訟業務に携わる。一橋大学国際企業戦略研究科を修了後、2017年より黒田法律事務所にて弁護士として活躍中。

本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。