第413回 公開発行会社は株主総会をテレビ会議で行えるか

 2021年末、台湾の会社法の一部の条文の改正案が可決され、「自然災害などの不可抗力の状況が発生した場合、中央主管機関は、会社は一定の期間内において、定款で定めることなく、テレビ会議またはその公告する方式で、株主総会を開催できる」と公告することができる旨が明文で規定され、会社による株主総会の開催規定が緩和されました。

 従来、全ての会社について株主総会をテレビ会議で開催することはできないとされてきました。18年の会社法改正において、科学技術の発達に鑑み、非公開発行会社は、定款で定めることにより、株主総会をテレビ会議または経済部が公告した方式で行えるようになりました(172条の2)が、公開発行会社は除外され、株主総会をテレビ会議で行えないとされました。

 21年5月、台湾の新型コロナウイルスの域内感染拡大が深刻化し、金融監督管理委員会(金管会)は、上場・店頭公開会社による株主総会の開催を強制的に停止すると発表しました。6月は本来、定時株主総会が盛んに開催される時期で、スケジュール通りに株主総会を開催することができなくなった上場・店頭公開会社は少なくなく、多くの会社で重大な意思決定や配当金の支払いの遅延を余儀なくされたことから、画像通信の方式で株主総会を開催できないかということが議論されることになりました。

不可抗力など特定期間のみ

 21年末に改正された172条の2と、356条の8では「会社定款は、株主総会を開催する場合、テレビ会議または中央主管機関の公告するその他の方式で開催できる旨を定めることができるが、自然災害、事変またはその他の不可抗力事象による場合、中央主管機関は、会社は一定の期間内において、定款で定めることなく、テレビ会議またはその公告する方式で、株主総会を開催できる、と公告することができる」と明文で規定しています。

 今後も依然として、公開発行会社は原則的に株主総会をテレビ会議で行うことができないとされていますが、金管会の公告する特定の期間内においては、株主総会をテレビ会議で行うことができるようになりました。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。
執筆者紹介

台湾弁護士 鄭惟駿

陽明大学生命科学学部卒業後、台湾企業で特許技術者として特許出願業務に従事した後、行政院原子能委員会核能研究所での勤務を経験。弁護士資格取得後、台湾の法律事務所で研修弁護士として知的財産訴訟業務に携わる。一橋大学国際企業戦略研究科を修了後、2017年より黒田法律事務所にて弁護士として活躍中。

本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。