第435回 選挙権と被選挙権

日本では、2022年7月10日に参議院議員選挙が行われ、暴露系ユーチューバーが当選を果たす等、異例の展開となりました。今回は、台湾における選挙権および被選挙権についてご紹介させていただきます。

20歳から選挙権

中華民国憲法第130条において、中華民国国民は満20歳で法律に基づき選挙権を有し、憲法および法律に別途規定がある場合を除き、満23歳で法律に基づき被選挙権を有する旨が規定されています。

日本では、選挙権は18歳から、被選挙権は25歳から認められるため、選挙権は日本の方が早く認められるのに対し、被選挙権は台湾の方が早く認められます。

もっとも、台湾では、今年11月26日に、選挙権年齢を18歳に引き下げることの是非を問う国民投票が実施される予定ですので、その結果により、日本と同じく18歳から選挙権が認められる可能性があります。

立候補は23歳から

上記憲法の規定の他、公職人員選挙罷免法(中国語:「公職人員選舉罷免法」)において、公職人員の選挙に関する規定が定められています。同法第24条第1項では、満23歳で公職人員選挙の候補者になることができる旨が規定されています。

ただし、直轄市長、県(市)長の候補者については満30歳、その下の行政区分である鄉(鎮、市)長、原住民区長については満26歳から被選挙権が認められます。

日本においても、都道府県知事の被選挙権は満30歳から認められますので、この点は日本と同様です。しかし、日本では、市区町村長の被選挙権が満25歳から認められるのに対し、台湾のこれに相当する行政区分では満26歳とされており、日本の方が1歳だけ早く被選挙権が認められております。

また、同法第24条第2項により、日本の国会議員に相当する台湾の立法委員の被選挙権は、満23歳から認められます。日本では、衆議院議員の被選挙権は満25歳から、参議院議員の被選挙権は満30歳から認められるため、国会議員(立法委員)の被選挙権が認められる年齢は日台で大きく異なります。

この他、中華民国憲法第45条では、満40歳から総統および副総統の被選挙権が認められる旨が規定されています。

当選者の平均年齢53歳

なお、台湾では立法委員の被選挙権が日本よりも早く(衆議院議員と比較して2歳、参議院議員と比較して7歳)認められ、かつ台湾では若者の投票率が高い(2020年の選挙では20代の投票率は推計約90%)といわれていますが、2020年に行われた台湾の立法委員選挙では、当選者の当時の平均年齢は53歳であり、今年7月10日に行われた日本の参院選の当選者の平均年齢である56.6歳とそれほど大きな差はありません。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

弁護士 福田 優二

大学時代に旅行で訪れて以来、台湾に興味を持ち、台湾に関連する仕事を希望するに至る。 司法修習修了後、高雄市にて短期語学留学。2017年5月より台湾に駐在。 クライアントに最良のリーガルサービスを提供するため、台湾法および台湾ビジネスに熟練すべく日々研鑽を積んでいる。

本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。